レッツ ブリリアント 2004/02 第13号

発行者
精神障碍者社会復帰施設
特定非営利活動法人(NPO法人)ブリリアント 施設長 内田 秀司

住所 〒 441-8145 豊橋市駒形町字坂口56番地
TEL 0532-46-0033
FAX 0532-46-0163

URL http://brilliant-gh.sakura.ne.jp/

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平成16年2月1日発行

「ブリリアント」の結団式

施設長 内田秀司

 いよいよ今年の春から音楽グループの出前が始まります。それに先立ち1月27日に結団式が行われました。音楽プロデューサーの杉本さんの指揮のもと、スターダストと協力者の面々が集まり、これからの方針を話し合いました。まずは老人施設向けということで、もう既にスターダストは童謡や民謡の歌を練習しています。それにいろいろなアーティストの方々に加わっていただき、さあ出発です。皆様この一座「ブリリアント」をどうぞよろしくお願い申し上げます。

暮れの火事から

森下昌人(一般:50代)

 暮れも近くなった12月、岩倉駅東口にあった喫茶店カドシマが火事で焼けてしまった。全焼ではなかったが、今は跡片ずけされきれいな更地になった。

 昔、名鉄知立駅沿線にあった居酒屋は火事で半焼した。その後は焼けた部分を残し新しい名前でやりなおした。名前は「ヤケタ家」だ。名鉄電車からいつも見ている。焦げた柱を火の見やぐらに作って、うまく再利用してある。そこに「ヤケタ家」と書いてある。ここの店主は、ユーモアのある人だと思った。

 暮れに火事になったカドシマのママさんはショックで寝込んでしまった。

 カドシマは喫茶店しか考えられないから、全部壊すしかない。同じ火事でもいつも「ヤケタ家」のように営業できるとは限らない。

新撰組

杉浦 依和夫(ヨガ講師 50代)

 今年のNHK大河ドラマは “新選組” です。昔の時代劇映画のヒーローの一人、鞍馬天狗は、近藤勇、土方歳三、沖田総司らに敵対する正義の味方として登場しています。ここでは、新選組は傍若無人、人斬り集団なる悪者と化しています。

 鞍馬天狗の原作者は大佛次郎(おさらぎ じろう)です。この倉田典膳こと鞍馬天狗には、実在なるモデルがいます。その人の名は、姓は中村、屋号を天風、中村天風こと中村三郎氏であります。数々の修羅場をくぐり、その生命の極限を生きてきたものが土台になり、“人斬り天風”と呼ばれた。明治、大正、昭和と生き43年に、92歳の生涯を閉じるまで、誰の追随も許さない苛酷、波乱の半生となり、後年は、天風という迫力ある指導者として、世の人々の敬慕してやまない大人物になるという特異な人生を生ききったのであります。

 また、一方では、「ヨガ」をわが国に初めて伝えた男としても周知の事実であります。そして、「日本ヨガ協会」を設立し、その後、“沖ヨガ”を世界にその名をなさしめた人こそ私の師であります沖正弘先生は、この天風氏と入魂の間柄から、求道の世界に入られたのであります。この天風氏と沖先生の出会いも必然といおうか、同じ境遇のエピソードが存在するのです。これらについては“沖ヨガの云われ”として、どこかでお伝えしたく思う次第です。

 三郎の父は、九州、旧柳川藩士。維新後は、明治政府に仕官し、紙幣に使う紙の研究と開発に尽くした。母は江戸・神田の生まれで気丈、顔立ちも言葉も態度もさわやかな女性であったという。製紙工場のある王子の宿舎で、明治九年、三番目の男子として産声を上げたのである。三郎は、幼少から負けず嫌いで、徹底的にとこととんまでつきつめるという生命力ほとばしる性格であった。俊敏な身のこなしと、すばやい頭脳の回転となって現れ、両親の手に負えない程のいたずらを重ねた。

 日清との間に戦が起こる気配のころ、スパイを秘密裡に探していたおり、「命知らずの若いモン」、武術に長ける度胸の者として17歳の三郎が選ばれ、満州の探索に当った。日露間が緊迫の度を深めるころ、軍事探偵の募集に応募し採用されて、明治三十六年には、ハルピン方面のスパイ活動に従事した。

 満州では、鉄橋を爆破し、夜間行軍する砲兵部隊に斬りこみ、司令部に潜り込むなど存分に、その能力は発揮された。だがついに、捕らえられ死刑の宣告をうけ、銃火一発、銃殺の瞬間、仲間内の手りゅう弾の爆発により逃れるのである。

 中村探偵のすさまじい活躍は、『ある特務機関の話』や『満州秘聞』の物語として発行されて、昭和7年には新国劇一座で上演され、島田正吾が中村を演じたのである。

 鞍馬天狗の作者・大佛次郎は、はじめは、このままの時代背景で小説を書き下ろすつもりであったが、あまにも生々しいのでためらったのである。倒幕に奔走する勤皇の志士、それに立ちはだかる新選組の幕末の時代に置き換えて、悪を懲らしめ、正義の刃をもって庶民を助け、一方では倒幕派の危機を救う、“鞍馬天狗”を作り上げたのである。愛する鞍馬天狗こそは、魅力のある中村天風氏なのであります。

 全国に「天風会」の支部があります。名古屋支部は上社神社にあり、“心と体を鍛える”目的で鍛錬会を行っています。“天風”の著作物をご覧あれ!

溺愛のシロ

宇野和男(寮生39歳)

 僕はこの2ヶ月程毎日愛ネコ “シロ” と一緒に寝ます。シロは賢くて一定の妥協をして甘えてきます。夜9:00頃になると落ち着きがなくなり部屋の入り口のドアをかしゃかしゃするのは(ねえエサ食べたいよ。寒いから一緒に来て。そして見てて)と言う合図です。僕が、シロについて廊下と階段を歩いて行くとシロはなんどもうれしそうに頭を僕の足にこすり付けてきます。「シロ食べろほら食べろ」というとエサをパクツキます。約5分くらいかな、そして次に、(エサはもういいよ)と目線で合図を送り今度は階段をイッキニ駆け上り2階の洗面台に(高さ1mはある)ぴよーんと飛び上がり(のどがかわいたよ)(早く水出して)と構えます。シロは器にためた水は殆ど飲まず、ジャグチから流れ落ちる水しか飲みません。ときどき配水管から出てくる水の形を不思議がり、前足で直接流水を触るけど冷たいのですぐ止めて毛の水をブルブルと払います。

 この一連の世話が終わるといよいよ一緒に眠りにつきます。僕の部屋に来て「シロ寝るよ…おいで」というとベッドの上に乗って来ます。僕がなかなか寝付け無い時もシロはいかにも幸せそうに丸くなって眠っているのでそれを見た僕の方が安心にさせてもらえます。

 朝は6時30分くらいまでは僕と一緒に体を投げ出していますが7:00になると(ねえ、オシッコしたいよ。早く出して)とドアをガリガリやります。その後は他の寮生からも「シロッ!シロッ!」とお呼びがかかり、うまく世渡りしています。

シロと子猫のジュン

シロと子猫のジュン

 シロとはほんとに親と子以上の関係です。魂の触れ合いがこんなに心を温かくするとは思いませんでした。時々昔のアニメ “アライグマ ラスカル” の主題歌に合わせて「シロちゃんに会わせてくれてー・シロちゃんに会わせてくれてー・ありがとう僕の友達シロちゃんにあわせてくーれーてー」と胸に抱き寄せて歌ったりします。

クリスマスホームパーティー

鈴木和(寮生28歳)

 去る12月25日ブリリアントの地下室でクリスマス会がありました。おととしはクリスチャンの方に来てもらってイエス・キリストを祝うようなしんみりとしたクリスマス会だったけど今回はブリリアント祭りの時にお世話になった方達と一緒に打ち上げもかねて明るく楽しくパーティーをしました。ブリリアント祭の司会進行をやってくださった、また月一度のヨガの先生でもある杉浦さんや1泊旅行を同行した、森下さん、スターダストの音楽プロデューサーとなった杉本さんも来られました。

 夜7時位からスターダストの発表でクリスマスの歌、(ジングルベル、清しこの夜、サンタが街にやってくる、赤鼻のトナカイ)を杉本さんのコンピューターカラオケ(MIDI演奏)で歌いました。その間お客様たちは(地下室に運び込んだ)鶏のもも肉、サラダ寿司などを食べながら僕達のうたをきいていました。次に前くすのき会会長の清水伸太郎氏が、半身不随ながら片手でハーモニカを数曲演奏してくれました。

 皆おなかも気持も満足したところでもれないくじ引きプレゼント会が始まりました。ルールは①くじ番順に好きな物をもらう②後の人は自分より前のプレゼントと残りのプレゼントのどちらからでも選ぶ権利がある。③取られたひとはもう1回①と②のなかから自分が取られたもの以外のものをもらう事が出来る。というもので結局一番後のひとが一番有利といったもので、いい品を取るとあとからの人に取られてしまうというもので、4回も取られ続けた人もいました。これで皆盛り上がりました。

 今年もこんな楽しいクリスマス会になればなぁと思いました。

大晦日のこと

宇野和男(寮生39歳)

 12月31日NHKの紅白歌合戦は寮生皆が食堂に集まって観覧していましたが私だけは自室で見ました。というのも私の最強のオーディオで5.1チャンネルを楽しむ為でした。NHKホールとまではいかなくても十分迫力ありました。夜10時頃お呼びがかかり年越しざるそばを頂いた後11:45からは速攻でりゅうねん寺へ行きました。先着200名までに除夜の鐘をたたき無料のかけうどんが振舞われました。今年も平和に穏やかに生きたいと決意をしました。

ギターの購入について

藤田一夫(寮生54歳)

 スターダストの音楽プロデューサーを担当して頂いてます杉本さんに、ギターについて見る目がありますので私のクラッシックギターを買いについてきてもらいました。予算の関係で4万円のスペイン製のクラッシックギターを買いました。値段のわりにはなかなかの音色を出すギターです。6万円のYAMAHAもありましたがブランドより実力だと考えやめました。

 クラッシックギターを毎週土曜日に習いに行っていますがその先生は「15万円以上でないと品が悪く、飽きが来る。」という忠告を頂きましたが私はプロではないのでこれで十分と思いました。私はスターダストではギターの係りなので当分このギターで頑張ろうと心新たにしました。

炊事当番

平林泰代(寮生31歳)

 私は炊事当番を毎日しています。おもに盛り付けです。でも少しは料理の勉強になります。

 世話人の内田さんは1時間で8~10人分のおかずを作ります。すごいなあと思ってみています。わたしなら何時間もかかってしまうのにな…。

 1時間で作っても「いただきます。」から「ごちそうさまでした。」までがたったの15分くらいです。毎日がそうです。まるで「奉仕の心」みたいに感じます。この1時間に奥さんとわたしの間で情報交換や日常会話があります。とにかくもうしばらくは料理当番をがんばってやろうと思います。

20代を迎えての抱負

匿名希望(20歳)

 私は今まで生きてきた20年間の中で親のしつけというものをまともに教えてもらった事はありません。おとうさんからは、私が少しずつ大きくになるつれ教えてもらいましたが、お母さんのほうはと言えば全くと言っていいほど教えてもらった記憶はありません。私が小学校1年生の頃から6年のころまで家出ばっかりしてても、私の心配よりも近所の人様ばっかり気にしてて、私はそんなお母さんがとっても嫌でした。そんなお母さんが嫌で、中学生になった頃お母さん達と離れて、私は養護施設で寮生活を4年間ぐらい経験しました。

 はじめの頃は毎日辛い事ばっかりで嫌だなとばっかり思っていたけれど、施設での生活に慣れて来ると毎日とっても楽しく生活出来る様になって来て、よかったなとつくづく思える様になりました。4年間という施設での生活は、大変だったけどでもいろいろな事を学ばせてもらい、とっても勉強になったと思います。

 そして残りの1年は春日井市にある春日台職業訓練校に入り、社会に出ても立派な大人になれる様に、そして社会人としてきちんと仕事が出来る様にと仕事の訓練をしていました。たったの1年間だったけど私なりにも一生懸命頑張ったし、今こうして一人の社会人として働けて、とっても嬉しいです。

 そして20歳にもなり、一人の大人としてこれからは皆に迷惑を掛けない立派な大人になりたいです。それから今まで自分勝手なわがままばっかりとうして、ブリリアントの奥さんや寮生の皆に迷惑を掛けてしまったので、これからは“謙虚な心”をモットーにして毎日の生活を頑張って行きたいと思います。

クリスマス ホームコンサート(素晴らしき仲間達)

世話人 内田里枝

 12月13日、ブリリアントの地下ホールにてクリスマスのホームコンサートが行われた。

 まずはスターダストの演奏で幕を開けた。おそろいのはっぴ姿にメンバーの気迫がみなぎっていた。宇野君は音響と自分の持ち歌とでプレッシャーも大きい。

 皆それぞれ持ち歌を披露した。Jさんはエネルギーにあふれたはじけるようなポップス「世界のほんのかたすみから」。鈴木和君の「上をむいて歩こう」は舞台と会場がひとつになり、和やかなムード。宇野君は朝から飲まず食わずでこの曲に懸けた。「愛しき日々」。しっかりと歌えた。泰代さんの「天城越え」は演歌の女王の貫禄十分。藤田さんのギター「愛のロマンス」は毎回、聞く人の心を魅了する。

 クリスマスソングは会場の皆様も一緒に歌っていただき、雰囲気も盛り上がっていった。このクリスマスソングのカラオケはプロデューサーの杉本さんがコンピューターのMIDI音源で作ってくださったものだ。

 そして今回の素晴らしいゲストの演奏へと舞台は替わる。「なつかしの看板展」でおなじみの佐溝さんがお仲間のアーティストを呼んでくださったのだ。素朴で優しく暖かいオカリナの演奏の鈴木さんは聞く人の心を癒し、わたし達を童話の世界へといざなった。アルトサックスとヴァイオリンの演奏の塩沢さんは都会の夜を演出。彼は楽器を何でもこなす名人で尺八も吹くそうだ。自分で作ったベースギターとハーモニカで自作の「ニワトリの曲」を演奏した井上さんは、もう自分がニワトリになりきっていた。プロのジャズグループから声もかけられている。佐溝さんの歌は魂の叫び。最後に甘くロマンティックなヴァイオリンにのせて歌ってくださった「小さな喫茶店」はまるでタイムトンネルで一昔前の時代に戻った気分だった。

 途中のティータイムではお客様達からの差し入れのみかん、手作りクッキーやパン、せんべいなどが並べられ、お茶を飲みながらおしゃべりもはずんでいた。

 後半はおなじみ清水さんのハーモニカ演奏から始まった。懐かしい小学唱歌のメドレーを片方の手で一生懸命に吹いている彼。このひたむきな姿に会場は感動で静まり返った。

 最後はスターダストのJさんのキーボード、佐溝さんチームのオカリナ、ヴァイオリン、ベースギター、そして清水さんのハーモニカも加わった出演者全員の伴奏で、会場の約30人位のお客様達と一緒に「想い出のアルバム」を歌って幕を閉じた。

 素晴らしき仲間達、そう、あえて言わせて頂こう。この素晴らしい仲間達との素晴らしいクリスマスコンサートだった。

行事報告 平成15年12月~16年1月

12月2(火)歌練(杉本先生)
  3(水)ヨガ教室(杉浦先生)
  13(土)クリスマスホームコンサート(地下室)
  22(月)歌練(杉本先生)
  25(木)クリスマスパーティー(地下室)
  31(水)除夜の鐘(りゅうねん寺)

1月2(金)カルタ大会
  6(火)歌練(杉本先生)
  7(水)ヨガ教室
  12(月)誕生会、成人式
  21(水)歌練(杉本先生)
  25(日)初詣(五社稲荷一畑山薬師寺)
  27(火)結団式

☆ブリリアントにご協力下さった方

井上様、稲地様、佐溝様、さざなみ憩いの家様、塩沢様、清水様、白井様、杉浦様、杉本様、鈴木様、森下様

☆ブリリアントにご寄付下さった方

 北川様、大沢様、山本様、鈴木様、白井様、杉本様、桑原様、円山様、豊橋善意銀行様、坂本様、溝口様、金原様、黒木様、レスポワール様、 小野田様、河合様、上島様、大須賀様、柳瀬様、内田様、杉浦様、佐溝様、石崎様、河辺様、石原様、佐藤様、倉岡様、りゅうねん寺様、福島様、内藤様、東海有機 (順不同)

編集後記

 去年の12月は13日、25日と2回のクリスマス会があり毎回スターダストの発表もあって充実した年末だった。今回のクリスマスカラオケを作ってくださった杉本さんが今年の3月頃をめどにスターダストの老人施設慰問計画を組んでくださり、1月27日にはついに結団式が行われた。さあいよいよ出発だぁ!!

編集長

 2004年の今年もブリリアントが平和である様にと祈願して、寮生達と初詣に出かけました。五社稲荷と一畑山の薬師寺に行きました。薬師寺はあらゆる祈願があり、大勢の人で賑わっていてまるで百貨店の様でした。今年も良い年であることを祈ります。

内田里枝
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