レッツ ブリリアント 2003/01 第8号

発行者
精神障碍者社会復帰施設
特定非営利活動法人(NPO法人)ブリリアント 施設長 内田 秀司

住所 〒 441-8145 豊橋市駒形町字坂口56番地
TEL 0532-46-0033
FAX 0532-46-0163

URL http://brilliant-gh.sakura.ne.jp/

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平成15年1月1日発行

ブリリアント この10年

施設長 内田秀司

 新年明けましておめでとうございます。昨年は10周年記念のブリリアント祭で大変お世話になりました。11年目のブリリアントは今までの10年とは一味違うブリリアントで出発したいと思っています。これからも皆様のご支援をどうぞ宜しくお願い申し上げます。

 ブリリアントが始まり10年の歳月が過ぎました。この間、大勢の障碍者と言われている人達と接してきました。一緒に生活してみていやなこと、困ったことは多少あったにしても、おおむね私にとって良好な日々でした。友達であったり、ボス猿であったり、いたわったり、いたわれたりお互いにあまり干渉もせずに空気のような存在であったように思われます。しかしそのなかの誰一人いなくても、何か淋しい感じがするのは不思議なものです。グループホーム「ブリリアント」というのは血の通わない新しい形の家族ではないか。核家族とか単身赴任主流の時代に赤の他人が集まって生活するということは、面白い実験でもあったような気がします。大勢で住むことは経済的に随分助かります。食事などはまさにそうです。

 今ブリリアントの畑には、大根、白菜、キャベツ、水菜、ブロッコリー、春菊、ねぎ等が食卓に並ぶのを待っています。玉ねぎ、ニンニク、イチゴ、えんどう達は、春の来るのを待っています。はっさくと甘夏は朝食の生ジュースになります。肥料は生ゴミとうずらの糞を発酵させたもので、もちろん生ゴミはゴミとして出した事がありません。

 ウコッケイは毎日卵を産んでくれています。ウコッケイの餌はウズラの落ち餌を集めてもらい、ただでもらってきますし、この卵の美味しさは格別です。市価1個500円で売られているんですよ。この卵を食べているのだからなんとゼイタクな事でしょう。ウコッケイを畑に放すと、冬眠している夜とう虫(キャベツにつく青虫)を食べてくれます。ちなみにブリリアントではこの10年間一度も農薬というものを使ったことがありません。去年、とうがらしをたくさん収穫出来たので、今年とれるニンニクとクエン酸を使ってブリリアント農薬を作ろうと思っています。ブリリアント農薬を使った野菜なら安心して食べられます。この農場は主に寮長の鈴木光雄さんが面倒を見てくれています。

 ブリリアントファミリーの楽しみは、10年前に赤い羽の共同募金で頂いたワゴン車のブリリアント号で皆で旅行に行ったり、温泉や海に行ったりすることです。帰りには必ずおみやげがあります。あさりやハゼ、ワラビ、いたどり等その季節季節の自然からの贈り物です。このような生活がいつまでも続けていけたなら大変幸せだと思います。こんな何でもない幸せを、皆にもおすそわけしたいなあと思っています。

 ブリリアント菜園では今ブリリアントの畑にはナス、キュウリ、里芋、ゆり根、玉ねぎ、生姜、香采、イチゴ、インゲン、落花生、赤米、黒瓜、大根、ニラなどが無農薬で有機栽培してあり少しずつ穫りながら僕たちの食卓に登場しています。僕は目がさめるとまず我が子の顔を見るように畑の野菜をながめます。そして水をかけたり、草むしりをしたりして30分くらいブリリアント菜園のていれをします。僕達が休みの日にはいろいろな畑仕事を指示されます。この間はインゲン豆を摘んだり、玉ねぎを収穫しました。また、例の赤米の水田でたくさんわいたボウフラを退治するのに、キンギョやメダカを買ってきていれました。まさしくこれこそ有機農法だと、この発想には驚きました。これからの季節、雑草との戦いですが、皆でこの有機農法ブリリアント菜園を可愛がっていきたいとおもっています。

最近の僕の悪い癖

宇野和男(寮生38歳)

 ブリリアントの食事は以前にも紹介しましたように無農薬の有機栽培のいろいろな野菜と、最近ではウコッケイの卵も量産体制にはいりかなり恵まれたぜいたくをさせて頂いておりますが、実はチョットした問題があるのです。それは味付けが薄いということなのです。それでついつい吉野屋の牛丼をたべたり、ほぼ毎日のように250CCのグラスに1Cmくらい、醤油を入れ、そこへトリガラスープの粉末と味の素、こしょうを入れあとはお湯を汲んで、即席ラーメンつゆを作ってゴクゴクと飲んでいるのです。将来的に通風が怖いけれど止められません。どなたか健康な味満足(濃い味がいいです)作戦にご協力をおねがいもうしあげます!!!

ハーモニカのクリスマス

内田里枝

 プープ、プープ、プー。プルルルル。何の歌かなあと思っていると、「緑の森の赤い屋根、とんがりぼうしの時計台…」あれどこかで聞いたことのあるような….ああ「鐘の鳴る丘」だ。最初のは前奏だったのだ。

 今日はブリリアントのクリスマス会。ハーモニカを吹いてくださっているのは元くすのき会会長の清水伸太郎さん。娘さんとお孫さん2人を連れての参加だ。毎年ブリリアントのクリスマス会は素晴らしいと自負している。クリスチャンのNさんがお説教をして下さり、皆で賛美歌を歌い、とてもおごそかないいクリスマスだ。今年はそれに花を添えるかのように清水さんがハーモニカを吹いてくださることになったのだ。

 彼は数年前に脳溢血で右半身不自由の身となった。それまでは熱き思いで精神障碍者の家族会の会長として社会の為に尽くしてくださっていたのだが、動く事もままならない状態になってしまったのだ。どんなにくやしくつらい思いをされたことだろう。しかし清水さんはそんな思いを乗り越えリハビリにリハビリを重ね、ついに車も片手で運転できるようになり、片足動かなくても杖をついて歩けるようになった。どこへでも飛んでいく不屈の精神だ。

 それで今ではハーモニカを吹いて老人ホームやデイケアセンターに行って皆を喜ばせている。お年より達を癒している。左手で吹く彼のハーモニカはとってもすばらしい。前奏から始まる。リズムも音程もしっかりしている。どうしてと思ったら昔豊橋交響楽団でトランペットを吹いていたと言うのだ。どうりでセンスいいと思った。

 手帳にぎっしりとレパートリーが書いてあって、次から次ぎへと歌が飛びだす。「あんなに吹くと、今にぶっ倒れるよ。」と小学3年生と1年生のお孫さん達が言う。今度は彼女達の出番。3年生のMちゃんは縦笛で「少年時代」を吹いてくれた。驚いた。大人でも難しいと思うのに。続いて1年生のKちゃんがピアノで「亜麻色の髪の乙女」を弾いた。これにもびっくりした。ついでに「ネコふんじゃった」までおまけつきだった。

 それからは清水さんと合奏したり息もぴったりで、おじいちゃんをいたわりながら伴奏をいれたりするお孫さんたちの姿に、私は感激で胸がいっぱいになった。なんて素敵な光景だろう。清水さんと彼をいたわるお孫さん達、彼を気遣いながらも、すわるひまもなくお皿を洗ってくださる娘さん。彼女もとってもうまくカラオケで歌ってくださった。

 音楽一家の清水さん達と楽しいひと時を過したブリリアントのクリスマス会。最後は彼のハーモニカの伴奏で寮生達も一緒に「きよしこの夜」を歌った。ロウソクの明かりの中で流れるハーモニカのクリスマスソング。こんなにすばらしいクリスマスは他にないだろうと思いながら寮生達も私も幸せな気持ちに酔っていた。

先生方にお願いする事

宇野和男

 先生方から見てこの人は○○が、責任持って任せられるという思いと実際にその人が責任の重さに耐えて事を成し遂げられるかという現実はなかなか一致しないものです。フレンドハウスに来る人は殆ど責任というのが怖い、あるいは避けたいと思っています。たとえばレク企画一つを見てもそう言う面があるのはお分かりかと思います。わたし達は世間なみの責務に対する処理能力がないかまたは人間関係に十分な適応性が無い為に病気になったわけで、所謂精神医学的に問題がある人は精神病院から退院出来ないはずです。

 これらのことを勘案に入れる時「これこれは誰それさんに一存します。」などと言う僕達の側から見ると “乱暴” な指導は「もう1回病気になりなさい。」といわれるのとおなじであることがよくわかります。くどくは言いませんがこのことを頭の片隅に何時も置いてくださいます様よろしくお願い致します。以上。

編集後記

 この元旦号は元旦での発送が間に合う様に年末よりかなりの部分が出来あがっていましたが、最後の所で12・31となり「くそう、また遅れが出たぞ」と言う事となり愛読者の皆様に不快なおもいをかけてしまいました。申し訳ありません。今回は障碍者と社会の関係を特集しました。硬い文章が多く少し面白みに欠けたかもしれません。私は障碍者の社会復帰には社会の精神的バリアフリー化と障碍者の意識変革こそが重要と考えています。こんな特集があってもいいのではないかと思います。

編集長

 毎回新聞作りはとっても楽しみになっています。寮生がどんな作文を書いてくれるのだろう。どんな話題が載るんだろうと胸がワクワクです。また、それにあわせたイラストを考えるのも楽しいですよ。今回の「レッツブリリアント」いかがでしたか。皆様もどんどん意見をのせて下さい。お願いします。

内田里枝
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