レッツ ブリリアント 2001/07 第2号

発行者
精神障碍者社会復帰施設
特定非営利活動法人(NPO法人)ブリリアント 施設長 内田 秀司

住所 〒 441-8145 豊橋市駒形町字坂口56番地
TEL 0532-46-0033
FAX 0532-46-0163

URL http://brilliant-gh.sakura.ne.jp/

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平成13年7月1日発行

ブリリアント新聞NO.2

ブリリアント運営責任者 内田里枝

 寮生達は新聞作りとはどう言うものか、手順も分かって来たようです。原稿の仕上げから校正、編集、イラストまで毎日協力して取りかかってくれました。今回注目すべき事は、パソコンの導入です。やはりこれからはコンピューターの時代だと思ったのか、寮生それぞれに興味ある人はパソコンを打ち始めました。コンピューター担当の寮生K君から教わりながら、時間は掛かっても真剣に取り組んでいる姿は、私も感動しました。私も時代の波に乗り遅れないように、寮生とともに歩いていくつもりです。

夢みる想い

森下昌洪 岩倉市50代

僕は第1回 ジェーム、シャンテ大会に応募した。(フランス語で唄うのが大好きという意味です。)デモテープは、私の大好きな、「さくらんぼの実る頃」を4番までシッカリトフランス語で唄った物を送った。このシャンソンは、イブモンタン流に、8年目にしてようやく納得できた歌だ。典型的な3拍子の、非常に情景が目に浮かんでくる内容の歌詞だ。

 優勝するとパリ往復航空券が貰えるので今年の秋にパリに行ける。

 もう出場のために東京のシャンソン伴奏者、友人に、日時まで伝えている。

 舞台のスタイルは、黒のスーツに白い麻の帽子、シャツは題名にマッチした柔らかなピンクの柄の半袖を2枚も買った。毎日自分が唄っている姿を、イメージして練習に励んだ。もう優勝してフランス大使と握手している写真も出来あがっていた。

 シナリオは完全に出来あがってあとは当日を迎えるだけだった。つい最近落選の通知が来て、2週間夢見ていた事が一瞬のうちに崩れ落ちた。

フラメンコとその可能性

A,eri(えり) 名古屋市 30代

 不思議な話を聞いた。『歩くのは大脳に刺激があって、脳が活性化されるために若返る』というものである。そのせいか、足の裏健康法など接骨院、整体にいくとそういったビラが必ず貼ってある。歩くというのは人間の最も基本的な、なおかつ日常では必ず行われる動作に他ならない。となればこれもうなずける話である。

 その基本的な動作を激しくしたのが、フラメンコといえるのかも知れない。あの激しい足踏み運動は見てると、ものすごく力を入れているように見えるかもしれないが、力が足に入っているうちは本当の音は出ていない。力を足から抜いた状態でなければ、本当の音は出てこない。現に力任せに打つ事は自分の足を自分で壊すようなもので、きちんとした姿勢を保ったまま打てるようになれば足は痛くも何ともない。伝わるのは自分の出した振動が体を抜けていく感覚だけである。

 となれば上記の話も眉唾だけで終わらせるのは勿体無いと思えてくる。足から、直接脳を刺激する。実際頭の痛い時に足を踏むと足ではなく頭に響く。おなかの痛い時にも無理してやっていると、頭痛になってくる。小さく堅い靴を無理に履いていると、頭痛がしてくる経験は誰しもお持ちではなかろうか。1番離れている場所と場所だからこそ密接に関係しているのかも知れない。

 踊りを始めて、しばらく経つと一様にみんな言えることは、表情が豊かになる事、そして首の周りがスッキリしてくる事である。ダンサーのレベルを見る時膝から下の格好と首周りをみれば、どの程度踊ってきたかだいたい想像がつく。そのくらい踊りとは足と頭をつかっていることになろう。そこで是非やってみたい試みが出てくる。脳に刺激を必要な人達へのフラメンコの適用である。踊りとしてではなく、あくまでリハビリの一環として。本当に足の音を鳴らせた時、あなたも「きもちいいかも」と思うはずだ。踊りは「難しい」ものではなく「気持のいい」ものだと言う事を一人でも多くの人に体験してもらいたいと思う今日この頃である。芸術云々を論ずるよりも、もっと本当に必要としている人達がいるのではないかと思う。その人達に提供出来るように、芸術のほうが姿を変えるべきなのではないだろうか。

花と私

鈴木光雄(寮生63歳)

 立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花、と聞けば絶世の美人を想い浮かべるのだけど、今日は花について、思いついたことを書いてみます。

 私は草花には多少知識がありますが、芍薬だの牡丹と言った豪華な花など育てた経験はまったくありません。私はアルコール依存症として6度も入退院を繰り返した人間です。2度目の入院をしたI病院から院外作業としてY花壇店に約一年勤め、花に水をやる事から、球根の植え方まで1通り覚えたのですが、退院すればまた酒に手を出すと言った具合で、バカにつける薬はないと、昔の人はよく言ったものです。こんな私ですが、今ではブリリアントの入口にある階段に並べられたプランターに花を植え、水を切らさないように面倒を見ています。これまで一番嬉しかったのは、1年間水をやり春に花を咲かせたシンピジュウムです。花をつけていないのに水をやり続けることの空しさがいっぺんに消し飛んで、喜びが身の内から溢れ、一瞬ヤッターと思う気持ちは何とも言い難いものがあります。今年はシクラメンが咲きました。これからも花にも命が有るのだと、もっと真剣に草花の面倒を見ていきたいと思います。花が自然に咲いた様に私も生きていきたいと思います。今年ブリリアントの寮生全員で初めて水田を作りました。赤米の花の咲くのを楽しみにしています。

 今では見られなくなった麦の花を皆さんは見たことが有りますか?。私は半農半漁の生家なので小学生の頃、よく見ていました。白いとても小さな花です。たった30分しか咲いていないので、見る機会がなかなか無く、この花を見た人は幸運な人だそうです。また、サツマイモの花とか、60年に一度咲くサボテンの花など、私はアルコール依存でありながらこれら数百種の花を見る事が出来ました。「花の命は短くて悲しきことの多かりき。」

 本当に短い命ですが一瞬一瞬を懸命に生きる姿に人々は喜び、またため息をし、この世に花は無くてはならない存在だと思います。しかし私は58歳まで酒を飲み続け、桜の色が何色なのかさへ本当に心から見たことは有りませんでした。4年間断酒した今やっと心の視野が広がった思いです。アルコール依存症の人の平均寿命は52歳だそうなので私は10年も長生きをしたことになります。

 人間は皆何か目的を持って生きないとだめになってしまうそうです。私の病は、回復はあっても完治はないと言われています。アルコール依存症になったことが今では良かったと思います。過去の事を振り返り反省をしてこれからは人間改革をし、少しでも今までやってきたことの償いが出来たならばと断酒活動を行っています。

パリの香り 「シャンソンの楽譜展」

内田里枝

 森下氏よりブリリアントの寮生に1通のハガキが舞い込みました。パリの香り「シャンソンの楽譜展」と題しての個展の案内です。

 氏はピアノの調律の仕事をしながら、趣味はシャンソンと絵を習っています。昨年の暮れ、一ヶ月パリに行ってきたところです。

 シャンソンの方はブリリアント祭りでいつも歌っていただいていてお馴染みですが、絵は寮生もまだ見たことがないらしく「行きたいでーす。」ということになりました。

 3人の寮生を連れていざ名古屋のギャラリーへ。

 寮生のT君はブリリアント新聞で活躍中ですが、氏はそのイラストに興味を持ち「今度9月にも個展をやるからその時には君の絵も混ぜてあげよう。」ということになりました。T君は今まで描いた絵を全部持参してのギャラリー入りということになりました。自分の描いた絵を氏がどういう評価をするかということに不安と戸惑いを感じながら。

 ギャラリーに着くとピンクのシャツに帽子をかっこよくかぶった森下さんがニコッと笑って出迎えてくれました。今までに見たこともない個展。感覚的であどけなく、純粋できれいな抽象画。

 透明なプラスチツクの箱を二つ重ねた上に氏の絵が立てて飾ってありました。絵の裏はシャンソンの楽譜です。こんなおしゃれな個展は見たことがありません。

 部屋のアチコチにそれは並び何か別の世界に来たような錯覚に陥りました。隅には音響セットが並び、いつしか森下さんは歌い始めました。絵の間を甘いシャンソンが流れます。寮生はお茶を飲みながら、しばしこのおしゃれな空間に酔いました。何曲も何曲も寮生はリクエストし、拍手を送っては絵と歌を堪能したすばらしいひとときでした。

寮生の慰安会 喫茶店ピグマリオンにて

宇野和男(寮生37歳)

僕の近況

僕の近況

 管理人さんが宮崎へ帰られてから、はや3ヶ月になって僕たちのそれぞれの役割分担もだんだん疲れが見えてきたのか、議論が発展しすぎて意地の張り合いのような雰囲気になってきた矢先に、ある日とうとう喧嘩まで起きてしまいました。その件は(雨降って地固まる)といったことで良かったのですが、(この辺で慰安会を開きましょう。みんなが満足できる食事会です。)と世話人さんが言って下さり、6月初旬、ブリリアント号で、喫茶店ピグマリオンへ行きました。店の中はとても落ち着き感が有りました。ママさんが、「みんな頑張ったわね。お疲れ様。さあ食べて!おかわり自由だから。」と言ってくれたので大皿に溢れんばかりのミソカツ定食をみんなかぶりついて食べ始めました。この店の食材は殆どが手作りで(例えば味噌は2年熟成)、よその店ではなかなか味わえない美味しいものです。僕はついおかわりを重ねてしまい、結局普段の2倍ほどお腹にいれてしまいました。デザートはこれまた自家製のわらびもちでした。

 僕はブリリアントで料理担当をしているので<味>についてはこの頃自分流に勉強しています。(冷や麦のタレは、だし、しょうゆ、みりん の割合は、311とか)そんなことを話したら、ママさんは「K君、すずきのワインソテ―の美味しいくて、簡単な作り方を教えてあげるよ。」と言って、みんなが、食後の一時を楽しんでる間に、僕だけ厨房の中に入れて下さり、丁寧な説明と実演でプロの技の深さについて教えてくれました。この日の約一時間半の間に(よし、もっと味を勉強してこれからも頑張らなくっちゃ!)という気持ちになりました。

 帰りのブリリアント号の中では、みんなの気持ちもまた1つになり、「あー腹一杯だぁ」とか「また来たいな」とそれぞれ感想を口々に言ってました。

 短い時間でもとても充実した慰安会になりました。

シロちゃんとお風呂

内田里枝

 寮生のA君はいつもFちゃんといっしょにお風呂に入る。

 Fちゃんはかなりのめんどくさがり屋さん。お風呂もシャワーをあびるのがやっとで、頭なんかもちろん洗わない。湯ぶねにも浸からない。

 そこでA君は考えた。Fちゃんといっしょに入って頭を洗ってやろう。湯ぶねに浸かって数をかぞえてみよう。昔、親が自分にしてくれたように。

 そこへ現れ出でたのがネコのシロちゃん。シロちゃんはA君がとてもかわいがっているペット。A君が風呂に入る時はいつもいっしょに風呂場に来て、風呂桶の縁に前足をチョコンとかけて入りたそうなふりをしている。

 A君とFちゃんが湯ぶねに浸かって数をかぞえだした。A君が1というとFちゃんが2。そこへ割り込んだのがネコのシロちゃん。3の代わりにミャオー。A君が4、Fちゃんが5、そこでシロちゃんが6の代わりにミャオー。という具合におかしな数え歌が始まった。7、8、ミャオー、10、11、ミャオー、13、14、ミャオー。

 ブリリアントののどかな一場面である。

僕の彼女 no2

匿名希望

 前回にも書いたようにA子さんとはうまくいっています。でもA子さんはとても恥ずかしがりやさんで、僕と2人きりにならない限り素顔を見せてくれません。それが、僕にとっては淋しいことなのです。

 職場でも僕以外の人とはとても自然に話をしたり、笑いかけたりしているのに僕には全然知らん顔なのです。

 休憩時間などに敢えて僕から近づき、話し掛けると言葉少なげに・・と言う具合なのです。多分、彼女はまだ(恋に恋している)段階なのだと思います。これからじっくり時間をかけて彼女の心を開いていこうと思います。こんな僕ですが、ブリリアントの自室で一人きりになると、とても切なくなりさみしい音楽を聞いてきゅんとなっています。

 僕の気持ちとしては彼女をこれからも守ってあげ、そして幸せにして行きたいと思っています。これはずっと変わっていません。

 A子さんがこれからも僕のことを信じてくれていますように!!!

ブリリアント菜園では

 今ブリリアントの畑にはナス,キュウリ、里芋、ゆり根、玉ねぎ、生姜、香采、イチゴ、インゲン、落花生、赤米、黒瓜、大根、ニラなどが無農薬で有機栽培してあり少しずつ穫りながら僕たちの食卓に登場しています。

 社長さんは目がさめるとまず我が子の顔を見るように畑の野菜をながめます。そして水をかけたり、草むしりをしたりして30分くらいブリリアント菜園のていれをします。

 僕達が休みの日にはいろいろな畑仕事を指示されます。この間はインゲン豆を摘んだり、玉ねぎを収穫しました。また、例の赤米の水田でたくさんわいたボウフラを退治するのに、キンギョやメダカを買ってきていれました。まさしくこれこそ有機農法だと、この発想には驚きました。これからの季節、雑草との戦いですが、皆でこの有機農法ブリリアント菜園を可愛がっていきたいと思っています。

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